2023年8月、お盆の時期ではありましたが、私はカナダの絵付けスクールの講師としてお招きを受け行って参りました。
そして海外へ絵付けの仕事で出かけるのはこれが最後、と決めていました。
理由は・・・・・もう歳だから、というのが正直なところです。
スタディを英語でまとめて材料を用意して、不測の事態に備えてあれやこれやと準備して、思い荷物を持って海外に出かけるのは本当に大変なことなのす.
海外のペインターさんの中にはこれを生業として世界中を飛び回っていらっしゃる方は多いですが、私はおかげさまで今までは自分の楽しみとしてやってきましたので「つらいなー」と思い始めた時にはやめようと決めていたのです。
コロナ禍の3年間はとても大きく、私も(これは皆さん公平ですが)歳をとりました。
その前になぜこのブログに残しておこうとしているのかというと・・・・・
ブログってあとで自分で読み返してみると本当に楽しくって、特に海外に行った話などは「あ~、あんなことしたな。とか、あんなこともあったな」とか思い出しながら読むのがすごく楽しいのです。
それに私のブログを見てくれている人は本当に少ない知り合いとかしかいないので、本音で書いても一緒に笑ってくれると思うからです。
実際、今 Facebookなどは日本語で書いても自動翻訳されてしまうので外国人の悪口なんか書いたらばれてしまいます(笑)。
なので備忘録、というか日記代わりにこのブログを書いています。
まず去年の話から・・・・
実は去年のカナダのスクールに行くはずでした。
去年カナダへの出国予定の3週間まえに第4回目のコロナワクチン接種を済ませました。
外出するときは当然二重マスクでした。それなのに感染してしまったのです。
去年の会場はオンタリオ州のブロックビルという1000アイランドのところです。サウザンアイランドはあのドレッシングで有名なところらしいです。
そのブロックビルというのはオタワから車で約2時間ほどかかります。
去年はまだコロナが収まっていなかったので、カナダには予防接種してあれば簡単に入れても日本に帰国するのにはPCR検査が必要でした。
大きな空港はだいたい空港に旅行者用の検査クリニックがあったのですが、オタワ空港は首都なのにそんなに大きな空港ではないので検査するところがありませんでした。
もちろん田舎町のブロックビルにはあるはずありません。
スクールの主宰者さんもさんざん探してくれ、私もオタワの日本大使館やトロントの日本領事館に連絡したりしてやっと見つけたのがオタワの街中にあるクリニックでした。ここだと日本の接種証明書に書いてくれるということでした。
結果は即時に出ないので、セミナーの途中の日に朝早く車に乗せてもらい2時間かけてオタワまで行き、検査をしてからまた2時間かけてブロックビルまで戻りセミナーをするという手筈になりました。検査結果はその日の夜にメールで受け取るということで、検査日の朝一番の時間にクリニックに予約も入れました。
これで準備万端!
しかし・・・・、荷物を空港に送って、いざ明日出発という日になぜか体調がおかしいのです。
熱っぽいし咳も出ます。最初は軽い風邪かな、とは思いましたが心配なので東京都から頂いた検査キットで検査をしたら、何と陽性!!!
慌ててカナダに連絡して、泣く泣くキャンセルさせていただきました。
スクールの私のクラスは満席でしたので、その10人の受講生を他のクラスに振り替えるのは本当に大変だったと思います。
多大なご迷惑をおかけしてしまいました。
大金を払ってチケットを用意してくれたので本当に申し訳ない思い出いで一杯でした。
しかしエアカナダに電話をすると、時期が時期なのでチケットはそのままバウチャーでとっておいてくれることとなり、ちょっと安心しました。
10人の生徒さんたちは寛大にもそのまま次の年の私のクラスにサインアップしてくれたのです。
1年経って・・・
今年は少し場所が変わってキングストンという街に決まりました。
キングストンはオタワから行くとブロックビルの少し先になります。
オタワ自体は昔息子が大学生の時に4年間住んでいたので何回か言ったことがあり、10年くらい前にもコンベンションで行ったことがあります。
が、それが最後でした。
初めての場所ではないのでそんなに心配はしませんでしたが、それでも前年度の悪夢がよみがえります。
出かける前の2週間は特に気を付けました。人混みにはなるべく行かないようにして、孫と接触するときには極力気を付けました。孫がおやつを私の口に入れようとするときも食べたふりをして絶対に食べませんでした。子供っていろんな病気を持っているかもしれないのですから。
オタワはカナダの首都ではありますが、日本からの直行便は飛んでいません。
行きはバンクーバーで乗り換えて、帰りはモントリオールで乗り換えることになりました。
久しぶりの1人での長旅。70も近くなると自分の体力や体調に自信が持てなくなります。
だいじょうぶかなぁ・・・・・・・・多少の不安は否めません。
8月12日午後4時50分、飛行機が定刻に離陸した時には「ついに行ける!」とホッとしました。
気が付くと隣の席の外国人の若い女の人が大きな枕を抱えているではありませんか。搭乗口にいるときからその枕は目立っていたけど、お隣さんだとは・・・。
「家から持ってきたの?」と聞くと、恥ずかしそうにそうだと言います。
へえ~~、首枕をかけて歩いている人はよくいますが、飛行機の中でこんな大きな枕を抱えている人は初めて見ました。
成田から9時間かかりバンクーバーに着きました。機内ではよく寝ました。
ここで入国審査はしますが、同じ路航空会社への乗り継ぎだと昔と違って荷物のピックアップはしなくてよくなり、簡単に国内線に乗り換えることができます。
ここバンクーバーからオタワまでは4時間半。エアカナダの国内線は長い飛行時間なのに食事の提供は無いようで、代わりにナントかグリルとかいうオーダーがあるそうですが情報によるとあまりおいしくはないようです。時間があったのでラウンジあたりで軽く食べておくことにしました。
バンクーバーのメープルリーフラウンジは国内線ターミナルのラウンジとはいえ軽食類も充実していて美味しそうです。
今はお昼前。私はジンジャエールを飲んでいましたが何か物足りない。
そうです! 日本時間は今は夜中でしょ!! ビールよ、ビール!
と私はビールに変えました。
カナダの国内線は機内持ち込み手荷物をたくさん持ち込む人が多いと聞いていたので、私は早めに乗り込み自分の座席の真上の物入れにしっかりと荷物を納めました。
確かにみんな上限ぎりぎりの荷物を持ち込んでいます。最後に乗り込むと入れるところが無くなり座席から遠いところに収納するかCAさんに預かってもらうしかありませんから降りるときに不便です。
ありがとう優先搭乗!
さっきの飛行機でもしっかり寝たはずなのに、キンドルで本を読んでいてもどうしても眠くなります。
ウトウトしながらの4時間半は思ったよりも短く感じました。
オタワ空港に着いたのは夜の9時過ぎ。Sueという人が迎えに来てくれているははずなのですが見当たらないので電話をかけました。
私の認識しているカナダ人はTシャツにパンツの人というカジュアル派が多いのに、ピンクの花柄のジャケットに白のミニスカートのオバちゃんが現れてちょっとびっくりしました。
さらに「今日は友達のお葬式だったのよ」と言います。まさかこの格好でお葬式に行ったわけではないと思うけれど、お葬式の後にこの服を着る気になれたなんて、どういうメンタルの強さ?
不思議です。
今夜はSueのマンションのゲストルームに泊まることになっています。
広いゲストルームです、ダブルベッドが一つにシングルベッドが一つ。バスタブもあります。
「お風呂だー!」と一瞬喜びましたが、そのバスタブはしばらく使われていないようでなんかちょっとザラザラするような・・・・・。
ホテルの部屋ではないのでそこまで管理がいきとどかないのでしょう。
仕方なしにシャワーだけ使いました。
荷物を明けると私のスーツケースは税関で無作為検査に会ったらしく、それを知らせる手紙が入っています。
アメリカに行った時とかも結構この検査は受けましたが、アメリカと決定的に違うのはカナダはきちんと閉まってくれていることです。アメリカはひどかったです。プレゼント用のラッピングはビリビリだし、ちゃんと包んだ白磁はむき出してそのままだし、ほんとうに「失礼しちゃう!」と思ったものです。
冷蔵庫があったので持参したプレミアムモルツを製氷室で急冷してプシューッ「あ~、極楽、極楽」
次の朝はSueに8時に電話を入れることになっています。
電話をするとSueは私を迎えに来て自室に案内してくれました。年配女性の一人暮らしの部屋、とはいえ広いです。しかし物が多い(笑)。
彼女は私にポーセリンのコレクションを見せたかったようで、明るいキッチンの天井には括りつけの白い飾り棚が四方に張りめぐらされています。
ドレスデン、マイセン、伊万里(本物かな?)・・・
確かに美しい・・・・・けど、台所でしょ?
お料理したら油が飛ぶんじゃないの?それともお料理なんかしないのかな?
なーんて、日本人貧乏性の私は心配してしまいますが当人はそんなことぜんぜん気にしていないようです。
去年リノベーションして棚をつくったとのこと。
去年?
「歳聞いてもいい?」と訪ねると、何と私と同い歳。
日本では私ぐらいの年になると「終活」とかいって今まで持っていたものを整理し始めたりして後ろ向きの生活に入る人も多いのですが、それはちょと反省しなければなりませんね。
それから眺めの良いベランダで簡単な朝食を頂きました。
突然Sueが枕を用意し始めました。一つ私に差し出して「今役員からキングストンには枕を持参するようにとの連絡が入ったから、これ貸してあげる」というのです。
「寮に枕が?・・・無い?」
私は飛行機の中で枕を抱えていた女性を思い出しました。もしかしたら彼女はどこかの学生寮にでも入ったのかしら???
キングストンのセントローレンスカレッジに着くとたくさんのメンバーが続々と到着しています。
私はシングル部屋を希望しました。
トイレやシャワーを知らない人とシェアするのは嫌だからです。
部屋は思ったより広くて快適そうです。・・・が、ベッドが高い!
たぶんベッドの下に物が収納できるようになっているのだとは思いますが、背の低い私には梯子が必要なくらいです。
それに、夜中に転げ落ちたらどうしよう・・・・・
私は椅子を踏み台代わりにして上がることにして、下には万が一転落したときのためにスーツケースを置くことにしました。
着いた夜はウェルカムパーティです。
簡単なサンドイッチと生野菜、ソフトドリンクが提供されるだけですが、皆さん一年に一回会うので会話が弾みます。
私たちマスタークラブの展示会もそうですから理解できます。
今年は講師が7人、7クラスです。
アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、スイス、スペインなどから来ています。私は「一番遠い国から来た先生」と紹介されました。
そうだよね~、太平洋を渡って更に大陸の反対側まで、地球を半周して来たんだから遠いよね~。
役員の方が「ギフト」と言って食べ物や果物やお菓子が入ったバスケットを下さいました。最初は
「何だこれ?」と思いましたが後になってこのギフトの有難さが良く分かりました。
ここはキングストンといって昔はカナダの首都だった所ではありますが、今は風光御明媚な静かなところです。
そこの町はずれのとてつもなく広い大学の学生寮に私たちは滞在しているのです。ですから車が無くてはどこへも行けません。
私は日本から簡単なインスタント食品を持ち込んでいますが、他の受講者たちはここに来る前にスーパーで買い物をしているのです。
水や飲み物、スナック類は自販機で売っていますし、カフェテリアは朝の八時から開いています。
が、カフェテリアは歩くと10分くらいかかります。
セミナー1日目。私のクラスは満席の予定でしたが病気になってキャンセルした人がいたため9人でのスタートとなりました。
でも他のクラスより断然人数が多いので大変そうです。
男の人が一人いて何となくナヨッとしてるようなので「ゲイか?」と思い、その時から私の中では彼は「ゲイ」ということになりました(笑)
セミナーの初日はまず生徒さんたちの様子を見ながらレベルを確認します。
説明を聞いてサクサクできる人、いちいち何でも質問する人、全部自分でやりたい人といろいろいらっしゃいますが、皆さんある程度のレベルの方たちなのでひと安心しました。が・・・・・1人だけ大変な方がいらっしゃいます。とんでもなく不器用な方が・・・・・。
私も長いこと絵付けを教えてたくさんの生徒さんたちをみてきて、たくさんの不器用さんも見てきていたのでたいていの事には驚きませんが、この方には驚きでした。
絵付け歴は7年とお聞きしましたが、パターンのトレースも曲がっていて気が付かないしマスキングもかなり汚い。いちいち修正するのが大変です。
今まで見たことのない一番の要注意人物です(泣)いや~、どうしようかな・・・・・
でもいたってご本人は楽しまれているようなので、なんとかヘルプしましょう。私たちはプロのペインターじゃないんだからね。
ところで、ここにはお窯がないので近くの役員さんのところまで運んで焼成すると聞きました。
私の素材は壺だったので、その運搬には大変心配しておりましたが、なんと役員さんの息子さんがすごい便利グッズを作ってくれたのです。
上下に天板があり4本の可動式の棒で支え上下の天板を自転車の荷台のひものようなもので挟む仕組みです。頭いい~!!!
それにここはコーン焼成なのです。私はあまりコーン焼成したことがないのでちょっと心配です。
同じ課題を先日ヴォーグ社のセミナーでやりましたが、お窯に置いた位置により温度が違ってしまうので一部失敗してしまい修正に時間がかかったことを
思い出します。お窯担当の人と入念な打ち合わせをして焼成に出しました。
でも焼成の受付が午後4時半までなのでそれまでにその日の作業を仕上げなくてはなりません。
時間近くになると「あと30分ですよー!」と声をかけに来ます。その人もセミナーを受けているのに本当にご苦労様です。
この日はセミナーが終わった後に「マーケットプレイス」といって希望するペインターたちに自分のスタディや材料などを売るためのテーブルが提供されます。
私は日本からの参加なのでそんなにたくさんのものは持っていけませんでしがが、それでも形だけ、本とスタディ、それに筆類を置かせて頂きました。
ここでなんと、懐かしいお顔にお会いしました。
香港のモニックさん。
「Keiko]と声をかけられ、「あれ?カナダに引っ越したの?」と聞くと、こちらにも家があるのだそう。
彼女は18年くらい前、友達のFが香港にいる頃にセミナーをさせていただき、その時に受講していた人です。
「私が初めて海外のペインターに教わったのはあなたなの。」と言われちょっとうれしくなりました。
そういえば香港の人ってアメリカやカナダに家を持つ人が多いけれど、いざというときに逃げ出す?のかな?
この日の夜はなんだか日本食に近いものがどうしても食べたくなって、だけど誰かに車を出してもらうわけにもいかず・・・・・、と考えていたら「ウーバーイーツ」が頭に浮かんできました。ウーバーはコロナ前にフランスで車を頼むのにアプリを入れてありました。「イーツ」のほうはまだ日本でも頼んだことはありませんでしたが、アプリを立ち上げると近くの注文可能なお店が出てきます。それも日本語で。
え~!!!・・・・・・
好奇心旺盛な私は試してみようと思いました。アジア料理の深夜までやっているお店から照り焼きチキン弁当、それにビールも。
待つこと20分。ちゃんと学生寮の受付に届きました。
万国共通! 便利なものです。
セミナー2日目。
朝の9時にはみんな集まります。皆さんとても熱心です。
でも今朝はとても寒く気温は17度だったので、夏とはいえ信じられない寒さです。
私は薄手の長袖のセーターの下にユニクロのヒートテックを着込みました。一応ライトダウンも持ってきてはいますが、もしかしたら出番があるかもしれません。
2日目になるとおしゃべりしながらそれぞれの生徒さんの事情が少しずつわかってきます。
ゲイだと私が勝手に思っていた彼には奥さんがいることがわかり、陶芸をされていて上絵付の経験はまだ浅いということがわかりました。でも手際がいいのでそんなことは感じさせません。彼は自分で作った小さなボウルに絵具などを入れていたりして、それを私に見せて「チャワン」と言います。
確かに言われてみれば茶碗です。
今回私はコラレンの「アヤメ」と「木蓮」の2つの絵柄を用意していたのですが、ほとんどの人がアヤメを選んだ中、一人だけ木蓮を選んだ方がいます。
彼女は絵付け経験が長いらしく、どうしても私に手伝わせてはくれません。まあ何とかこなしているので触らないことにしましょう。
でもこの方はよく席からいなくなります。今年のスクールの責任者だということで雑用が多いのだと思います。
会の役員ってそういうものなんですよね。同情してしまいます。
今夜は役員によるデモンストレーションがあります。
「ラスターの基本的な使い方」と「スクラッチ技法」です。
どちらもよく知っている技法ではありますが、お付き合いとして参加することにいたします。
デモの後に何か食べに行きましょうということになりました。
もう9時を回っているので近くのパブへということになり、車で連れて行っていただきました。
みんな、オニオンフライとか、フライドピクルスとか、こんな時間なのに揚げ物を食べるのです。
私はカナダの名物「プーティーン」を食べてみようかな、というと「是非 食べてみて」と言います。
でも私がオーダーするとウェイターが苦笑いしたのはなぜ?
プーティーンというのはロシアのあの人の名前ではなく、フレンチフライにデミグラソースがかかっていてさらにチーズがかかりオーブンで焼いたものす。
かなりの高カロリーなことは確かです。確かモントリオールのコンベンションに行ったときに食べたような気がしますがお味は忘れてしまいました。
なんか思ったよりしょっぱいですが、ビールにはよく合います。
これはカナダの人はよく食べるの?と聞くと、「あんまり食べないよ」ということでした。
次の日私がプーティーンを私のFacebookにアップしたら、アメリカやカナダから「No thank you!」とか「見るだけで病気になりそう!」などのコメントを頂きました(笑)
セミナー3日目。
今日はホワイトタッチをします。
ホワイトタッチとは私のオリジナルの素材で台白をベースに作ったマットのアンティークな盛りです。
みんなちゃんとできるかなー?ちょっと心配になりましたが、皆さんにちゃんと楽しんでもらえ素晴らしい出来でした。
例の困ったチャンは相変わらずですが、1か所終わるたびに私が修正を施し、何とか上手に完成しました。
彼女も満足そうで、「It's pretty!」を連発しています。
この日の夜はバンケット(宴会)があります。
大きな大学なので、構内にはカフェテリアのほかにファストフードやパブ、それにバンケット会場がいくつもあるのです。
会場に行くと綺麗にテーブルセッティングされて、長い役員のあいさつが始まります。
日本の宴会は時間が限られているのであまり長い挨拶をしたらブーイングですが、ここでは結構みんな同じような挨拶を長々としているのにはちょっと閉口しました
。
お料理は羊肉の煮込みと鮭のグリルで、どちらにするかは前もってアンケートを取っています。私は羊肉を選びました。
しかし、あまりのボリュームに全部は食べきれませんでした。残念!
食事が終わるとオークションが始まります。
会員の寄付した作品や本などを競り落とすのですが、日本ではあまりメジャーではありません。
私も作品を一つ寄付させていただき結構高額で落札されました。
落札したお金は会に寄付されるので盛り上がります。面白がって会員どうしでどんどん値を吊り上げたりしていて、本当にオープンで楽しそうです。
日本の打ち上げパーティでは考えられないことです。
6時半に始まったパーティは10時半まで続きました。長かった~!
最終日
同じ部屋でイタリアから来たTatiana Dallest さんが教えています。
Tatianaさんは10年前にマスタークラブで展示会にご招待してデモンストレーションやセミナーをしていただいたことがあるので思い出話に花が咲きました。
ここの学生寮は個室にシャワーとトイレ、それに冷蔵庫もついていますが、それ以外は何もありません。
薄い毛布に薄い枕(私はSueに枕を借りていますが)、それに部屋の温度のコントロールもできなくて、冷房が効いているせいかやたら寒いのです。
私はパジャマの下にTシャツとレギンスを履き靴下まで履いて寝ています。
携帯用の電気ポットとコーヒーは持ってきましたので朝はコーヒーと前日に買ったサンドイッチかフリーズドライの味噌汁とご飯とかを食べます。
野菜不足を感じるのでお昼はカフェテリアでサラダを頂くことにしています。
肉類のトッピングのサラダとコーヒーと果物、これで大体18ドルくらい、日本円で約2000円。
高いです。日本で学食で2000円なんて言ったらもう学生は生きてはいけませんよ。
カナダは食べるものが本当に高い!
日本人は物価高がどうの、と嘆いているけれど、海外に比べて物価の安いのは有難く思わなければいけないと思います。
この日の夜はみんなで中華料理を食べに行きました。
大学から車で15分くらい、郊外にあるショッピングセンターの中のビュッフェスタイルのにぎやかなお店です。入り口に池があり錦鯉が泳いでいます。これは中国のつもりか?日本のつもりか?
まぁ、太平洋の向こうに住む人たちにとっては日本も中国も同じなんだと思います。
お料理の数が多く結構おいしかったのですが、お寿司のコーナーがあって、それだけは許せないレベルでした。
世界中でお寿司は人気があり、カナダでも「お寿司大好き」とか「お寿司をよくたべる」という人がたくさんいるけど、一体みんなどんなお寿司を「お寿司」といっているのかは疑問です。
キングストン最終日
朝学生寮のロビーに行くと焼成の上がった作品が並べられていて、みんなそれぞれ仕上がりに満足そうでした。
私も、最終焼成まで失敗なく焼成できたことにホッとしました。
今日はこれから明日から始まるオタワ郊外での別のセミナーのために移動しなければなりません。
正直言って、キツイ!、もう帰りたい。
というか、お風呂に浸かりたい。
学生寮なのでバスタブなんかあるわけもなく、とにかく体を温めたいと思って熱いシャワーを浴びて、温まったなと思ってシャワーカーテンを開けてタオルを取って身体を拭くころにはもう身体が冷えてる、という状況でした。
シャワー室の排水口に栓があったら・・・・・と何度思ったことでしょう(笑)。
「今回で最後なんだから、我慢して頑張るのよ!」と自分にハッパをかけてなんとかモチベーションを保とうとしました。
がんばれ、あと半分!!!
車に乗せられ1時間ほど走るとリドー湖という湖にかかった小さな橋を渡ります。
ひょうたん型の湖のくびれたところにかかっているその橋は船が通る時には手動で動かされ、その間は車を待たせるという、さもカナダ的なやり方には驚きました。
時間が決まっているわけではなく船が通る時に道を封鎖して橋を動かすそうです。船と言っても湖の小さな船です。
車のほうも大人しく何台も並んで待っています。そんなの初めて見ました。
急いでいるときにはどうするの?!「高架にすればいいんじゃないの。」と私は合理的に考えてしまいますが。
今夜から3日間はホテルではなくホームステイとなります。この辺にホテルはありませんから。
湖畔に建つ美しい家、本当に美しくてまるで映画にでも出てきそうなその家には2年前にご主人を亡くされたペインター女性のChrisが住んでいます。
Chrisの家は部屋の温度も快適に保たれベッドも快適で、昨日まで泊まっていた学生寮とは雲泥の差です。
その夜は美味しいディナーを自ら調理して用意してくれて、ワインを頂きながらおしゃべりして過ごしました。
本当に静かで何の音もしません。たまに遠くで犬が吠えている声がします。「お隣の犬が吠えている」と言いますが、隣って何十メートルも離れているのです。
「草取りはどうするんだろう」と貧乏性日本人の私は思ったのですが、ここは日本と違い背の高い夏草は生えないそうで地面に低い草が生えているだけす。
冬が長いので雑草は枯れてしまい、だから花の世話はするけれど草は取らない、と言っていました。
また物置の横にうず高く積んでいる大量の薪。去年台風で木が2本ほど倒れたのでそれを切って乾かしているとのこと。
私の妹が薪ストーブを持っていて毎年薪の調達に苦労していることを話すと、「タダで分けてあげるから持っていってほしい」なんて言っておりました。
ここはオタワの郊外といってもキングストンに近い田舎町でセミナーの会場まで車で15分ほどかかりますが、そのあいだなーんにも無いのです。道路を走っている車もまばらで周りはトウモロコシ畑と豆畑と林です。大きなサイロをいくつも備えた牧場も何件かあります。牛と馬、それに羊たちの姿も見えす。
私は2年前に夫と車で走った北海道の道東の風景を思い出しました。北海道とカナダ、似ているけれど今年の北海道は暑いんでしたっけ!
セミナーの会場は畑の中の、隣にお墓とお向かいにタイヤ屋さん(完全な車社会のカナダでは大事なのでしょう)、そんなところにある町のコミュニティセンターです。
赤毛のアンに出てきそうな可愛い建物でお花がきれいに咲いています。夏のカナダ、という風景です。
今回のセミナーはMAX8人とお願いしてありました。カナダ人6人にアメリカ人が2人参加されています。
あ!、キングストンのクラスにいた困ったちゃんもまた来てくださっています。
ところがこの困ったちゃん、2回目のせいか少しできるようになっていて、その代わりさらなる別の強者が現れました。
さらにその強者、勉強のためだと言って同じ課題を2枚仕上げたがるのです。熱心な気持ちはわかるんですけどね・・・・・・・・。
それより1枚をまともに仕上げてほしいのよね。
ここでやる課題は数年前にバンコクでもやりましたがみなさんお上手でした。やっぱりアジア人は総じて器用なのかもしれません。
お昼はランチボックスが運ばれました。
15カナダドル(日本円で1650円くらい)だそうですが(もちろん私は払っていませんが)、箱をあけてびっくり!
丸いパンの卵サンドにきゅうりのスライスが6枚、ヨーグルトと小さなリンゴと小さなロールケーキ、それと水。
みんな「素晴らしい。美味しい」と言っていますが、冗談でしょ!!!
1600円でこんなもの日本で出したら怒られます。ますますカナダの食べ物の値段の高さには驚かされました。
今朝は曇りで気温が14度でしたので私は念のためと持って行ったライトダウンを着ました。もちろん下にはヒートテックも着ています。
ところが午後になると気温がぐんぐん上がり24度くらいになったので私は慌ててヒートテックを脱ぐ始末となりました。
この時期のカナダの天気は読めません。
夕方Chrisの家に帰りバルコニーで湖を眺めながらワインを頂きました。本当に、東京に住んでいる私にとっては夢のような時間です。
目の前をリスたちが横切り、空には雁の群れが飛んでいます。本当に静かです。
Chrisがここは冬は雪でいっぱいになり寒いので11月から4月まではマイアミの家で過ごすのだといいます。
カナダとマイアミを半年ずつか・・・、なんて贅沢な生活なのでしょう。
毎日ここで何をやっているのか、と聞くと、時々友達とランチしたりゴルフに行ったり散歩したりして気が向いたら絵付けをすると言います。
毎日の買い物はどうしてるのかと聞くと、車で2,30分行ったところにグロサリーストアがあるので大丈夫、と言います。
確かに素敵なところだけど・・・・・冷静に考えると・・・・・私には住めないなぁ~。
東京に住んでいる私の家から徒歩5分以内にコンビニは5~6軒あるし、駅からも歩いて10分、どこへでも行ける。
風邪を引けば徒歩2分で内科医、耳鼻科は徒歩5分、歯医者や皮膚科だって徒歩10分だ。
病気になったらどうするんだろう、とか、泥棒や強盗が来たらどうするの!とか心配してしまいます。
確かに素敵な家だけれど大きな窓や玄関のガラスの扉はカーテンが無いし、電気を点けたら中が丸見えです。
たぶんここまで怪しい人は来ない、という前提で建てられているとしか思えません。
心配性日本人の私には、ずっと住むのは無理!
次の日も朝は15度でしたが、午後はまた気温が上がりました。
今日のランチボックスも面白いです。
今日はパンではなくラップにしました。それときゅうりのスライス6枚、ヨーグルト、ポップコーン(湿気てた)、小さなケーキと水、同じく15カナダドル。
なんか、笑っちゃいます。
この時点で私は妹や友達にランチボックスの写真をラインで送りました。もちろん値段も添えて。
今夜はChrisと車で15分ほどのところにあるNewbolo という町のレストランに行くことになりました。そこは夏は観光地だそうですが、冬は全く人が居なくなるということです。
頼んだお料理は多すぎて持ち帰りすることになりました。日本では言い出すのにちょっと勇気がいりますがカナダでは普通のことです。
そういえばタイでもそうでした。セレブのマダムがビニール袋に入れて余ったお料理をお持ち帰りしましたっけ。
ここでは余ったら持ち帰ることを前提に紙やプラスチックのBoxが用意されています。持ち帰ったものは次の朝食のメニューとなりました。
今日はセミナー最終日です。
今日のランチはちょっと豪華です。ラップにドーナツ、きゅうりのスライス6枚とヨーグルト、りんご飴、バナナ、それに誰かの畑で採れたトウモロコシも茹でてあります。
トウモロコシには皆さんバターを塗っています。ここでも日本人との摂取カロリーの差が出てくるんですね。
この辺は絵付けの材料はどうやって手に入れるのか聞いてみると、インターネットでアメリカのメリーランドチャイナやダラスチャイナから買うそうです。
カナダもペインターの高齢化が進み、亡くなったりすると遺族が持っていた白磁や材料を売りに出し、それを買うこともあるといいます。
日本では3年前に陶画舎さんがお店を閉めたけれど、ヴォーグさんや三田村さん、ウツワトエツケさんなどから簡単に買えるので有難いことです。
セミナーの進み具合はというと、皆さんよく頑張ってくれました。
アメリカから参加のお1人は明日飛行機で帰るといいます。もうお1人は明日12時間かけて車でアリゾナまで帰るそうです。
皆さん短いカナダの夏に集まってここで一緒にペインティングをしたということは、私も含め本当に良い思い出になると思います。
セミナーが終わってから私は車で1時間半、オタワのダウンタウンまで送っていただきました。
ダウンタウンの近くになると交通渋滞になり、なんだか懐かしい~、と思ってしまいます。
今夜からダウンタウンのホテルに2泊してから日本に帰ります。ホテルはリドーセンターという大きなショッピングセンターに直結しており近くに国会議事堂も見えます。
便利、便利!!
予約時にバスタブ付きのお部屋をリクエストしてあるので、今夜はお風呂に浸かれます。カナダの浅いバスタブでも構いません。
嬉しい~!!!
ホテルにチェックインして周りを少し散策しながら、何を食べようかな~、と考えていたら急に疲れがどっと出てきました。
今夜はまずお風呂に入って、ちょっと贅沢ではありますがルームサービスを取ることにしました。リカーショップがあったので美味しそうなワインだけゲットしてホテルに戻りました。
ここは牛肉が美味しいと聞いていたので、ステーキとシーザースサラダを注文して、お風呂にゆったり浸かり(といってもバスタブが浅いので結構大変です)、バスローブのまま大きな窓から見えるオタワの夜景を見ながらの食事となりました。
「今回のセミナー、知らない人ばっかりの中でよく頑張った!」と自分を褒めながら。
次の朝はゆっくり寝て、午前中は近くのバイワードマーケットに行きお土産などを調達することにしました。
ここは日本人の観光客はほとんどいません。たまーに見かける日本人はだいたい仕事で出張中とかの人のようです。
でも、オタワの街中に酔っぱらって寝ている人や物乞いをしている人がいるのには驚きました。私が最後に来たのは10年ほど前でしたがそんな光景は見たことがありませんでしたから。
ホームレスは少しいましたが、それは日本のどこかの公園なんかにいる普通のホームレスで、白人のこんなに若い人たちが道端で寝ているなんてオタワではありえませんでした。
バイワードマーケットあたりを歩いていると急に救急車のサイレンが聞こえてきたのでそちらを見てみると1人の若者が倒れていて運ばれて行きました。飲酒か薬か・・・・・・?
これもコロナの影響でしょうか。美しい街並みなのに本当に残念です。
それからカナダ国立美術館に行きました。泊まっているホテルからアメリカ大使館の前を過ぎてまっすぐ行くと大きな蜘蛛のオブジェが見えてきます。
ガラス張りの建物も美しいです。カナダの関する美術、ヨーロッパの美術と分けられたくさんの収蔵品が展示されていますが、日本の美術館だと学芸員のおばちゃんが隅っこに座っていたりしますが、ここは制服を着た男性の警備員がうろうろしていてまたその人数の多さにもびっくり。
お昼もだいぶ過ぎてお腹がすいたのでカフェテリアで軽くお昼を食べることにしました。
薄いハンバーガーとコーヒーを頼みました。これで12ドル(1,300円くらい)。えーっ!!!
私はすぐに日本のビッグマックの値段を調べました。ビッグマック単品で450円から、セットで750円から、しかもポテト付き。
ここはなんと高い!!私は、有難~く、薄いハンバーガーを頂きました。
今日はこれから大事な人と会うことになっています。
実はオタワ滞在を一日延ばしたのはこの方にお会いするのが目的でした。
昔息子が大変お世話になったフランス人のおばあちゃん、今年84歳になるはずです。
彼女の息子さんが日本人と結婚してしばらく日本に住んでいたこともあり、家族ぐるみのお付き合いをさせて頂いています。
10年前にオタワのコンベンションに来た時も会場のホテルまでわざわざ足を運んでくれました。
まだまだお元気で、今でも編み物が趣味で、今回も美しい手編みのストールをお土産にいただきました。
私たちはFacebookで繋がっていますが、私ももう若くないのでオタワに来るのはもうこれが最後になると思います。
名残は惜しいですが、本当にお会いできてよかった。
「これで、ミッションコンプリート!」
私はすがすがしい気持ちでまだ明るい夕暮れのオタワの街を歩きました。
次の日の日本へのフライトはまずオタワからモントリオールに飛びます。オタワ空港からは国内線なので空港は結構空いていてセキュリティチェックもガラガラでした。
セキュリティチェックの入り口の女性の係員が私のパスポートを見て「日本人?」と聞くので「そう」というと「私は日本語を勉強しているの」と言うので、「何か日本語でしゃべってみて」というと「ワタシはニホンゴはあまりデキマセン」というのでお上手です、というと喜んでくれました。
搭乗券のチェックをしている係員に搭乗券を2枚見せると、モントリオールからの搭乗券を見て「モントリオールから東京までどれぐらいかかるの?」と聞いてきたので「14時間くらいかな」というと首を振りながら「僕には無理だね」と言われました。私だって長いと思ってますよ。
オタワからモントリオールはたったの45分間のフライトなので飛び上がったらもう下降していました。
モントリオールで飛行機に乗り込むと何と私の隣は1歳くらいの子供連れのご夫婦。私はそんなこともあろうかと耳栓を用意してきたので大丈夫。
ウチの孫も1歳の時に息子夫婦に連れられカナダに行ったけれど、飛行機の中では本当に大変だったと聞いているので、「うるさくてすみません」というお母さんに「全然気にしなくていいですからね」と声をかけたら喜んでくれました。
実際アイマスクと耳栓で私は途切れ途切れではありますが8時間も寝てしまいましたから。
今回の旅は本当に久しぶりの1人長旅なので、出発する前から緊張しておりましたが、なんとかこなせました。
航空券の高騰している時期にチケットを買っていただいたカナダのスクールには感謝いしています。
主催者やボランティアの皆さまにも感謝、感謝しかありません。
お天気にも恵まれ、本当に良い旅をさせて頂きました。
すべてのことに感謝いたします。有難うございました。
帰国したら日本はまだまだ猛暑で、キングストンの寒さがなつかしい~、なんて贅沢を言っております。
さて、来月はマスタークラブの札幌展示会です。