2013年 06月 07日
パリのコンベンション・・・Porcelainea Part2
今日は大会の初日で9時半からオープンですが、皆さん早く会場に入ります。
ブースホルダーはバッジを持たされているので、それを見せればオープン前の会場へも入れるのです。まるで水戸黄門の印籠みたいに(大げさ)。
そして、オープンまえのブースで、気に入ったものを一足先に買わせていただきます。
9時半になるとたくさんの人が訪れ会場がごった返しますが10時からデモが始まるとちょっと一息つく感じです。
私の用意したコラレンの材料はまだデモもしていないのに売れてしまいます。
そして、今日の私のデモのテーマは「コラレンのリメイク・・・K-Coralene」です。コラレンに関しては私も実験に時間を費やし、去年のリヨンの大会に出品した「龍」の作品に一部だけ取り入れました。
それを英語のスタディにしてIPATで売ったら、それを目ざとく見つけた人が自分のアイディアのようにしてセミナーに取り入れたそうで、それを知った私の生徒さんや友人たちから「ちゃんと自分の研究開発したものだとアピールしなきゃだめよ!」と言われたので今回から思い切ってご披露することにしたのです。
去年のIPATでこの技法を使った作品で金賞を頂いたときにいろいろな人から聞かれました。
実際この技法は私が試行錯誤の結果リメイクさせたものですから、実はIPATからも作り方をマガジンに載せてほしいという依頼をずっとされていたのですが、もうちょっと待ってと言っていたものでした。
苦労して成功させたんだからもうちょっと自分だけで楽しませて~、という気持ちでいたものですが、まあ、英語でスタディを出したときからは一応は覚悟はしながらも、写真だけでは気がつくまいと思って作ったのですが、さすがに実物を見たことのある人は目ざといです。
でもね、誰が悪いのでもありません。ちゃんと自分でアピールしなかった私が悪いのですから。
まあ、どっちにしても蓋を開ければ大した方法ではないし、それを参考にして似たようなやり方は誰でも考え付くし、「これは私のやりかたよ!」と言われればそれまでで、私には何を言う権利もありませんが(笑)。
ただ、最初に苦労してこのリメイクの方法を考えた私にちょこっとだけでも敬意をはらってくれたら嬉しいと思います。
実はこの見本のBoxは去年のリヨンの大会でエキシビットしたときに、さすがフランスの雑誌を作っている人が目をつけて掲載を依頼され、そのときにごく簡単な作り方も紹介しました。
ここで、パリで正式にリリースしたものなのでこれからはいろいろな人がこの技法を楽しんでくれるようになると思います。。
デモの持ち時間は45分間。短いので、全部の紹介はできませんが、大事なところは説明したいと思います。
会場に行くともうたくさんの人が待っています。去年のIPATでもK-コラレンの作品で賞をいただき、皆さんにいろいろ聞かれていましたが、やっぱりみなさん興味あるんですね。
デモは私が英語で説明をしてSちゃんが流暢な(私はわからないが、たぶん。ごめんねSちゃん・笑)フランス語に通訳してくれます。
これからはこんなSちゃんみたいなトリリンガルの日本のペインターも増えるんあろうな・・・・と私は婆さんみたい(笑)
おかげさまで無事にデモが終わり、材料は完売いたしました。
今夜はドイツの出版社のアンドレアと食事をします。
アンドレアとは私の本を出版した時からの付き合いですが、今はもう仕事を超えてかなりプライベートなお付き合いになっているのです。
しかも今回は英語翻訳担当のイギリス出身のジャニスも一緒です。ジャニスとは3年前にイタリアでお会いしてからの再会で、そのときに一緒だったFと4人で再会を喜び合いました。
その昔有名な画家たちが集ったと言うモンマルトルの「ムーランドギャレット」、ルノワールの絵の舞台にもなったという老舗のレストランでは食べたり写真を撮ったりと、それこそガールズ(?)トークで時間が経つのを完璧に忘れさせます。
6月1日
コンベンション二日目は土曜日ともあって昨日より来場者が多いらしいのですが、昨日の初日は私たちが慣れていないこともあり、かなりあたふたしたせいか、今日はちょっと楽な気がします。
お昼をちゃんと食べている暇なんてないので、スナックスタンドで買ったり、ホテルの近くの美味しいパンやさんを見つけて会場に行く途中で買ったりと、せっかくのパリなのに、どこにいるのかわからないランチをしています。
でも、今夜はガラパーティがあるので、ちょっとは美味しいフランス料理を食べられることを期待しましょう。
会場は「Musium of Fairground Arts」という、どうも移動式遊園地の博物館を改造したイベント会場らしいのです。ここからはかなり距離があるので、会場からはバスで連れてってくれるらしいのですが、何時のピックアップなのか誰にきいてもわかりません。
主催者を捕まえて聞いてもはっきりした時間がわからず、「あとで掲示します。」といことです。
あとで、って・・・・今夜のことでしょう??? まあ、一事が万事、このコンベンションはすべてがこの調子なので今更驚きはしませんが、我々日本人にとっては信じられないことです。
その間に会場ではファッションショーがあり、Sちゃんの描いたペンダントが使われると知っていたのですが、待ち時間が長くて足が痛くなった私たちは後で作品を直接見せていただくことにし、ブースに戻りました。晴れ舞台を見逃してしまい、ごめんねSちゃん。裏切り者の私たちを許して~。
ガラの集合が7時と聞き、ドレスアップした人たちがコンベンション会場の前に集まります。7時と言ってもまだ太陽は高く輝き、まだまだ真昼間という感じです。
バスに揺られて一時間ほど、お決まりの交通渋滞の時間とはいえ、遠いことは遠いのです。
連れて行かれたパリの郊外にあるその会場は、アンティークの移動遊園地をそのままパーティ会場にしたようで、華やかでなぜか別世界に迷い込んでしまったような不思議なところでした。
食前酒のシャンパンをいただきながら、クラッシックなメリーゴーラウンドや珍しいゲームを楽しむ大人たち。確かに現実を忘れさせてくれるようです。
ひとしきり遊んだ(?)あとにテーブルに案内されます。
中世の宮廷を模したような不思議な部屋で、仮面をつけた人形があちらこちらにおいてあり、まるで中世のパーティ会場に迷い込んだような雰囲気ですが、ふと前を見るとアオザイ姿のFがいます。そういえばベトナムであつらえたというアオザイは長身のFに良く似合っています。
コンペティションの結果はもうすでに会場で発表になっていましたが、食事をしながら壁のトリックミラーで大はしゃぎをしたり、あまりはしゃぎすぎてもういい加減疲れてしまったころに授賞式になります。今回は日本人は誰も賞には入りませんでしたが、世界中から集まった作品はみなさんすごい力作揃いで、もう見ているだけでもとても刺激になりました。
フランス人のRachelが2nd prizeになり、彼女はリヨンで私が受賞したときにとても喜んでくれたので今回は「おめでとう」のお返しをしました。3枚の連作の彼女の陶板はとても迫力があり、すばらしいものでした。
今回のパリのコンペティションのテーマは「Dream of Paris」でした。それこそいろいろなデザインのパリの作品が並びました。私の作品は「オペラ座の怪人」です。実はリヨンでアメリカ人のNancy姉さんの仮面を買った時に思いつきました。陶板に仮面をのっけて・・・・・
たぶんコンペとしては規定違反だといわれる可能性はありますが、そんなことどうでもいい。描いていて楽しければ私はOK.
Nancyさんも大変喜んでくれましたし、満足、満足の作品でした。そのうちにHPにアップしようと思っています。
12時をまわり、もういい加減にベッドに入りたい、と思ったころやっとお開きになりました。
またバスに乗り、ホテルに帰ったころはすでに午前1時を回っていました。本当に長いパーティでした。
6月2日
今日はコンベンションの最終日ですが、昨日のパーティが遅かったせいか、ブースのあちこちがまだ開いていません。私も今朝はちょっときつかった。
それでも日本から持って行ったものはなるべく持って帰りたくなかったので、できるだけ売って帰りたいと頑張ってブースを開けました。
自分のブースにいながらもちょっと目をつけていた白磁が売れていないか気になり、ちょこちょこそのブースを訪ね、値下がりがしたころにゲット!
持って行った物の重さぶん、いやそれ以上の買い物をしてしまったことは間違いありません。
あとは無料受託手荷物の重さ制限を超えていないことを祈るばかりです。
またの再会を約束し、ブースをたたみ、コンベンションは終わりました。
このあとFはご主人が休暇をとって今日から一緒に南フランスを旅行するそうで、Sちゃんは続いて別のセミナーを受けるそうで、また別行動になります。
今夜は私はアンドレアたちとディナーをすることになっており、二年前にミュンヘンに行ったときに一緒に小旅行をしたウリも今日からパリに来ているそうで、4人でのディナーとなります。
ウリは金髪の、ドイツ人にしてはかなり派手なおばちゃんで、今日もスパンコールのキャミソールにショッキングピンクのジャケットで現れました。でも、とても面白くてかわいい人です。
お食事をし、街をぶらぶら歩き、カフェでアイスクリームをいただき名残を惜しみましたが、時間はどんどん過ぎていきます。
アンドレアとは9月にベルンで会うことを約束し、さよならをしました。
6月3日
朝、ホテルのダイニングで朝食をとっていると、去年IPATのサンフランシスコ大会のオークションで私の作品を落札して下さったTanakaさんに声をかけられました。
Tanakaさんはアメリカ在住の日本人で、私がこのパリのコンベンションに参加するのをお知りになり、偶然に同じ時期にご主人様とフランス旅行をされるので、スケジュールがあったらお会いしましょうというメールを頂いていました。
ちょうどコンベンションの私のデモの日に時間ができるのでデモのチケットを買いました、とご連絡をいただきデモも来てくださったのでした。
ホテルも同じホテルをおとりになり、実は今夜はお食事をご一緒させていただく予定になっているのです。
私が今日の昼間はひとりでぶらぶらと観光をする予定だと言うと、ぜひリュクサンブール美術館へ行って御覧なさいと薦められました。いま企画展でシャガール展をやっているらしいのです。
シャガールファンの私としては見逃すわけにはいきません。早速地下鉄の地図を広げ、乗換えを確認しました。
9時過ぎにフロントへ降りていくと、もうとっくにセミナー会場へ向っているはずのSちゃんがフロントでうろうろしています。
昨日になりやっとセミナーの会場がどこか知らされ、住所を聞いたら「ホテルまで迎えに行くから大丈夫。」と言われ、約束の時間にフロントで待っているけれどいっこうに迎えが現れない、ということです。いくらフランス語がペラペラのSちゃんでも、住所がわからないのではどうしようもありません。その後つてを頼ってなんとかなったそうですが、何から何までこんな調子で、私たち日本人から見たら信じられないことばかりです。
さて、私は地下鉄に乗りルーブル美術館へ向いました。
いつものごとくものすごい込みようで、本当に中国人観光客の多いのにはびっくりです。
でも彼らはサモトラのニケやモナリザやいわゆる超有名作品の前にしか行かないので、さいしょっから時間をかけてゆっくり見ようと思えばそんなに気になるものではありません。
パリの美術館ではいつも感心するのですが、小学校低学年の団体客が多く、名画の前に座り込み先生が説明をしている姿があちこち見受けられます。
こんなに小さいうちかあたりまえに「本物」を前に授業を受けられるなんて何て幸せなことでしょう。
音声ガイドを借りてじっくりと鑑賞したあとは、Tanakaさんお勧めのリュクサンブールへ向いました。
すごいです。こんなにたくさんのシャガールをいっぺんに見られるなんて幸せなことです。
中学生のときに油絵を描いていた私は高校生のときにパステル画に懲りました。ただ紙の上に描くのではなく、石英の粉を膠で溶き紙の上に塗って日本画を描くのと同じような下地を作ったりといろいろな技法でパステル画を描いたものです。
そのきっかけとなったのがシャガールのパステル画でした。
大量の本物のシャガールに圧倒されて幸せなひと時を過ごしました。
今夜のディナーのためにtanakaさんが予約して下さったのはLes Ombesという美術館の中にあるレストランで、エッフェル塔が良く見える素敵なレストランでした。バルコニーに出るとエッフェル塔とセーヌ川沿岸がパノラマのように見えます。
Tanakaさんととても素敵なご主人様と一緒にディナーを楽しんだあとに船に乗りましょうということになり、セーヌ川からのパリの夜景を
楽しみました。
思いもかけず素敵なパリの最後の夜をプレゼントしてくださったtanakaさんご夫妻に感謝をし、明日の朝早くにお発ちになるというTanakさんと、いつかまた再会しましょうと約束をして名残惜しくお別れをしました。
6月4日
今日はいよいよ帰国をします。
飛行機は夜の便なので時間はあるので、チェックアウトしたあとにちょっと観光をする予定です。
昨夜田中さんに「オペラ座の真後ろのデパートの屋上から見る眺めは最高ですよ。」と薦められたので行くことにしました。
だいたいパリの地下鉄は東京の地下鉄よりもずっとわかりやすいのです。パリ市内だったら一枚の切符で90分間は乗り換え自由だし、切符を買うのがちょっと難しいけれど、その辺にいる英語のわかりそうな人を捕まえてカルネという10枚綴りの切符を買ってしまえば滞在中はずっと使えるし余れば次回使えるし、誰かにあげても喜ばれます。
今回持っていて便利だと思ったのはレンタルの携帯wifiでした。地下鉄の出口を出て「はて、私はどこにいてどっちを向いているのかしら?」
というときにスマホのGPS機能を使った地図を立ち上げればパリの自分の位置がわかるのです。
恐るべし文明の機器!!!(死語です)
朝Tanakaさんが発つ前にフロントに預けて下さった地図を頼りに着いたデパート「ラファイエット」、確かに屋上からの眺めは飛び切りです。
あれがエッフェル塔、昨夜のナイトクルーズはあのあたり・・・なんてしばらくパリの絶景を堪能したあとお腹がすいたのでランチをしようと階下へ降りました。ブラブラ歩いていると「Sushi Bar」の文字が目に飛び込んできました。そういえば成田空港でザルそばを食べてからは日本食にはご無沙汰です。「お寿司、食べたいなぁ。」と店先のメニューをのぞいていると、日本人の老夫婦が同じようにのぞき始めました。
「美味しいんでしょうかねぇ」と私が言うと「お寿司を食べたいのだけれど、どれを注文したらよいかわからない。」というのです。
私は近づいてきたウェイターに言って隣のテーブルに着き、お手伝いをさせていただきました。ここは観光地らしく英語のメニューがあったので私でも大丈夫でした。お二人で言葉がわからないのに個人旅行を楽しんでいると言う老夫婦にちょこっとだけ良いことをした気分でした。
そしてくれぐれもスリに気をつけて下さいと、私が散々いろいろな人からアドバイスいただいた言葉をそのまま言わせていただき、ご無事なご旅行をとお別れをしました。
後から聞いたことですが、実際コンベンション会場で置き引きや泥棒があり、なんとイタリアやアメリカから参加していた有名ペインターの部屋が荒らされ、金庫に入れておいた売り上げがごっそりやられてしまったと聞いたときには背筋がゾッとしました。
我々のような平和ボケした日本からの旅人は注意しても注意しすぎることはありませんね。
今回の旅も新しい出会いや再開があり、感動、感動の連続でした。
でも、いつも思うのですが、言葉なんて通じなくとも同じ人間同士、気持ちは通じるものです。
そしてレッスン日の振り替えを快く承諾してくださった生徒の皆様にも感謝、感謝です。
さて、津軽三味線の先生に練習用のばちをお借りして、時間のあるときにはバチ使いの練習をするようにと持ってきましたが、なかなか思うように
練習はできませんでした。先生ごめんなさーい。帰国してから頑張りまーす!!!
by matsurika-art
| 2013-06-07 19:30
| 海外のコンベンション